歯根端切除(歯の先端部の手術)について【患者様向け】

歯根端切除 患者様向け情報

この記事では、歯根端切除(根切とも呼ばれています)について、これまでの私の臨床経験と知見を中心に分かりやすくまとめました。

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歯根端切除とは

歯根(歯の根っこ)周囲の病巣(病気に侵されている部分)に対して、根管治療だけでは治癒が期待できない場合や根管の治療が困難な場合に行う手術です。

歯根端切除術は、根尖病巣およびその発生源である歯根の先端を同時に除去して歯の保存を図ることが目的です。歯根端切除は保険適用の治療です。

歯根端切除の流れ

  1. 手術部位に局所麻酔をする。
  2. 歯肉を切開し、切開した部分の歯肉をめくる。
  3. 骨に小さな穴を開けて歯根周囲の病巣、嚢胞を摘出する。
  4. 原因の歯根先端を数mm切除して、汚染部位を除去する。
  5. 歯根切断面の根管に穴を削る。
  6. 止血する。
  7. 削った穴に安全性の高い歯科用セメントを詰める(逆根管充填)。
  8. 歯肉を元に戻して歯肉を縫合する。

歯根端切除の適応

・根管治療を行ったにも関わらず症状の改善が見られない場合
・根管の詰まり、歯根穿孔、根尖の破壊、リーマーやファイル(根管治療に使用する針金)の破折等により適切な根管治療ができない場合
・クラウンやコア等の理由により根管治療、根管充填が困難な場合

根尖の切除量

根尖を3mm切除することにより、根尖部の分岐は98%、側枝は93%除去されるとの報告があります。根尖を4mm切除してもこの値は変わらないことから、歯根保存の意味で、根尖を3mm切除することが推奨されています。

歯根端切除の成功率

再根管治療と根尖切除術の併用療法により、成功率は約81%との報告があります。
歯根端切除後の予後が良くない場合の治療法には、歯牙再植や抜歯等の処置が必要になります。

歯根の病気について気になることがある場合は、かかりつけ歯科の先生に聞いてみることをお勧めします。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。

葵会グループ
AOI国際病院 歯科口腔外科部長(神奈川県川崎市川崎区)
医療創生大学 歯科衛生専門学校校長(千葉県柏市)
田島聖士

【参考文献】
・新版家族のための歯と口の健康百科(伊藤公一他、医歯薬出版株式会社)
・先進医療 X線CT画像診断に基づく手術用顕微鏡を用いた歯根端切除術の治療成績(吉岡隆知他、日歯保存誌53:66~72, 2010)
・Color atlas of microsurgery in endodontics.(Kim S et.al, W.B.Saunders Company, Philadelphia, 2001)

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