乳歯の特徴と虫歯にならないために注意すること【患者様向け】

おやつ 患者様向け情報

この記事では乳歯の特徴と虫歯にならないために注意することについて、これまでの臨床経験と知見を中心に分かりやすくまとめました。

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乳歯の特徴

・永久歯より歯が小さい。
・永久歯より歯の色が白い。
・乳歯はエナメル質・象牙質が薄いため、虫歯になりやすく、虫歯の進行(虫歯が神経にまで到達するスピード)が早い。

乳歯の役割

・食べものをしっかり咬むため
・顎の成長発達を助けるため
・永久歯が生えてくるスペースを確保するため
・発音を助けるため

乳歯の虫歯

乳歯はエナメル質・象牙質が薄いため、虫歯になりやすく、虫歯の進行(虫歯が神経にまで到達するスピード)が早いため、虫歯にならないように毎日の歯磨きが大事になります。

1歳半頃から歯医者さんデビューして、歯のクリーニングやフッ素の塗布を受けることがお勧めです。

3歳頃からは歯科医院での治療も可能となりますので、虫歯がある場合は早めに受診をするようにして下さい。

食事やおやつの注意点

・食事の回数
間食の回数が多い子供は虫歯になりやすいと言われています。
糖分が口の中に入ると虫歯菌によって酸ができ歯が少しずつ溶ける、脱灰という現象が起こります。

唾液の中にあるカルシウムやリン酸によって歯を修復して強くする、再石灰化という現象もあります。
おやつを何回もダラダラと食べた場合、何度も脱灰が起こり、そのスピードに再石灰化が間に合わないため、虫歯になってしまいます。

・おやつに関して
子供は消化機能が十分に発達していないため、大人に比べて一度に多くの量を食べることができません。そのため、食事以外での栄養摂取も大切になります。おやつはあくまでも補助的ですので、食事に影響が出てしまうような時間帯や量は避けるようにします。

・おやつと虫歯
乳歯は虫歯が進行しやすいため、おやつで次のことに注意します。
おやつは時間を決めてダラダラ食べない。
おやつタイムの回数を少なくする。

飴・キャラメル・クッキー・チョコレート等、糖分が多いもの・歯や口に長く残るものはできるだけ控える。
就寝前の糖分摂取は控える。
水分摂取はできるだけ水やお茶にして、ジュース・炭酸飲料・スポーツドリンクは控える。

スプーン、箸、ストロー、食器等を子供と親が共有することは避け、別々のものを使用するようにする。
食べた後に歯磨きを行う。できない場合はブクブクうがいをする。

虫歯菌の感染

・虫歯菌
虫歯菌を赤ちゃんのお口に入れないようにすることが大事です。
産まれたばかりの赤ちゃんのお口には虫歯菌はいません。虫歯菌は親などの唾液から、3歳頃までの間に感染すると言われています。

最も母子感染しやすい1歳半から3歳頃までの注意すべき時期のことを「感染の窓」と言います。そのため、スプーン、箸、ストロー、食器等を赤ちゃんと共有することは避け、別々のものを使用するようにします。

・虫歯の始まり
歯、虫歯菌、糖質の3つが揃った状況で時間が経過すると、虫歯の発生が始まります。
そのため、歯磨きを丁寧にしていても虫歯になりやすい人はいますし、歯磨きが上手に出来ていなくても虫歯にならない人もいます。

原因は食べカスをエサにして歯に細菌が付き、どんどん増えていきます。そして細菌のかたまりが汚れ(プラーク)を作り、歯にくっつきます。
虫歯菌がプラークの中で酸を出していくことで、歯が溶け、虫歯になっていくのです。

虫歯の進行

CO(第1段階):エナメル質表面が少し溶けている状態。

C1(第2段階):エナメル質内部まで脱灰〈だっかい〉(歯のエナメル質からリンやカルシウムが溶け出すこと)して穴が開いた状態。

C2(第3段階):虫歯がエナメル質を越えて象牙質にまで達した状態。

C3(第4段階):虫歯が象牙質を越えて歯髄〈しずい〉(歯の神経)にまで達した状態。

C4(第5段階):虫歯により歯のほとんどが崩壊し、歯根〈しこん〉(歯茎に埋まって見えない部分)だけになる状態。

今回は乳歯の特徴と虫歯にならないために注意することについてまとめてみました。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。

葵会グループ
AOI国際病院 歯科口腔外科部長(神奈川県川崎市川崎区)
医療創生大学 歯科衛生専門学校校長(千葉県柏市)
田島聖士

【参考文献】
・新版家族のための歯と口の健康百科(伊藤公一他、医歯薬出版株式会社)

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