その他の口の粘膜疾患について(口腔粘膜疾患③)

口 歯科と口腔外科の症例集

この記事では、その他のお口の代表的な粘膜疾患について、これまでの私の臨床経験と知見を中心に分かりやすくまとめました。

スポンサーリンク

口腔カンジダ症

口腔常在菌のカンジダというカビ菌によっておこる感染症です。カンジダ菌はもともとヒトの身体に存在する菌の一つですが、副腎皮質ステロイド薬の投与、糖尿病、全身衰弱等によって免疫力が低下している状態、長期間の抗菌薬服用等により菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が異常増殖することにより発症します。

急性型と慢性型があります。
急性型
・偽膜性カンジダ症

点状や線状の白い膜が表面に付着します。白い膜をガーゼなどで拭うと簡単に剥がれますが、剥がれた後の粘膜は赤くただれた状態になっています。

・萎縮性カンジダ症、紅斑性カンジダ症
白い膜が認められません。舌表面の突起の萎縮や粘膜の赤みが特徴で、偽膜性カンジダ症よりもヒリヒリとした痛みが強くなります。口角の赤み、ただれ、亀裂を認める口角炎もカンジダが原因になっていること(カンジダ性口角炎)が多いです。

慢性型
・肥厚性カンジダ症では、白い膜は剥がれにくく、上皮が厚くなります。

治療には、口腔内の清掃、抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬、内服薬を使用します。
処方例:フロリードゲル経口用(5g/本) 1日2本(分2、朝夕食後) 5日分

治療前の写真】

治療後の写真】

口腔乾燥症

様々な原因による脱水、唾液の減少、口腔内の乾燥により口の渇きが生じます。舌や頬粘膜等が萎縮し、赤みやただれを引き起こします。

また、シェーグレン症候群と呼ばれる自己免疫疾患が原因で、口腔乾燥を伴うこともあります。

治療には、原因を取り除く原因療法や緩和を目的とした対症療法を行います。

ヘルペス性口内炎

単純性ヘルペスウィルスによる初感染で、無症状の感染ですが、数パーセントがヘルペス性口内炎になります。小児に多くみられ発熱や倦怠感の症状が出ます。口腔粘膜には多数の口内炎ができ、歯肉の赤み、腫れ、ただれが特徴的で、口腔内は不潔になりやすく口臭が強くなります。自発痛や接触痛も強く、食事や会話も困難になることがあります。

治療には、抗ウイルス薬による治療を行います。消炎鎮痛薬や抗菌薬の投与も症状により行います。局所的にはうがい薬等で口腔内を清潔に保ちます。状態によっては、入院下で治療を行う場合もあります。

帯状疱疹〈たいじょうほうしん〉

子供の時に感染した水痘帯状疱疹ウイルスが神経根に残っていて、体調が悪い時にそれが活性化されて発症します。口腔内では三叉神経(上顎神経または下顎神経)領域の片側に口蓋、歯肉、口唇に痛みを伴う発疹、水ぶくれ、ただれが発生します。

体の右側または左側だけ部分的に発生し、全身に広がることはありません。強い痛みを伴い、重症化する場合もありますので注意が必要です。

治療には、重症の場合は入院が必要となり、全身的な管理とともに食事が困難な場合には、点滴等で栄養補給する必要があります。抗ウイルス薬、消炎鎮痛薬、抗菌薬等の投与を行います。局所的にはうがい薬等で口腔内を清潔にします。

帯状疱疹後には神経痛が残る場合があり、消炎鎮痛薬で効果がない場合は、神経ブロック療法が必要になることもあります。

手足口病〈てあしくちびょう〉

コクサッキーA16、あるいはエンテロウイルス71などのウイルスによる感染で、手足口に0.5㎝以下の水ぶくれができます。口の中の水ぶくれが破れると潰瘍ができ、飲食の際痛みを伴います。

治療は小児科を受診して下さい。全身症状、口腔内症状は軽く、自然治癒します。全身症状が強い場合は対症療法を行います。

ヘルパンギーナ

エンテロウイルス属、A群コクサッキーウイルス(流行性のもの)による感染で口腔内から喉にかけて赤みや多数の水ぶくれを認め、破れると潰瘍となり、39℃以上の発症が特徴です。夏に流行しやすく小児にみられることが多いのですが、まれに大人にも発症します。

治療には対症療法が中心となり、小児の場合は栄養・水分補給に注意します。

上記のような口腔カンジダ症、口腔乾燥症、ヘルペス性口内炎、帯状疱疹、手足口病、ヘルパンギーナの症状が認められる場合は、早めに総合病院の歯科口腔外科を受診することをお勧めします。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

【参考文献】
・最新口腔外科学第5版(榎本昭二他、医歯薬出版株式会社)
・第5版 SIMPLE TEXT 口腔外科の疾患と治療(栗田賢一他、永末書店)

コメント

タイトルとURLをコピーしました