親知らず抜歯の方法と種類について

下顎埋伏智歯 歯科と口腔外科の症例集

この記事では親知らずのうち、特に下顎埋伏智歯の抜歯方法とその種類について、これまでの私の臨床経験と知見を中心に分かりやすくまとめました。

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はじめに

下顎埋伏智歯の抜歯は口腔外科領域で最も頻繁に行われる手術の一つです。

この記事では、3種類の下顎埋伏智歯の抜歯方法・テクニックの理解が図れるように整理を行いまとめました。

標準的な下顎埋伏智歯抜歯法(歯冠-歯根分割抜歯)

最も標準的で教科書的な抜歯法は、歯冠-歯根分割による方法です。

歯冠最大豊隆部を描出する事を考えすぎて頬側下顎皮質骨の削除量が過剰になりやすいこと、歯冠下底部のエナメル質や舌側歯冠部が残存しやすいことがあります。
また、歯冠-歯根分割時にタービンによる舌神経損傷の報告もあります。

V字からY字形成による歯冠-歯根分割の下顎埋伏智歯抜歯法(VY歯冠-歯根分割抜歯)

頬側下顎皮質骨の削除量を減少し、歯冠下底部及び舌側歯冠部の取り残しを防ぐことを目的として、V字形成によって一部の歯冠を除去します。その後、Y字になるように分割線を入れて歯冠-歯根分割を行う方法です。
上記図のように、①と②の分割後(V字分割線)にAを摘出し、③の分割線(Y字分割線)を入れて抜歯します。

頬則下顎皮質骨の削除量は減少するものの、歯頚側に向かって舌側寄りにバーを挿入していくため舌神経損傷に注意する必要があります。そのため、舌側の分割にはストレートハンドピースのフィッシャーバーの使用がお勧めです。
また、骨開窓部が小さく歯牙を小片として分割摘出するため手技に熟練が必要となります。

近心根-遠心根分割による下顎埋伏智歯抜歯法

最初に歯頚部付近のエナメル質を起始点としてフィッシャーバーにて歯髄腔まで切削して開放し、開放口及び歯髄腔を利用して歯冠-歯根を近遠心に分割して抜歯する方法で、米軍の口腔外科医が多用していました。

歯根が離開している症例が適応で、この方法は歯冠-歯根分割の際に生じる下底部歯質の取り残しを心配する必要がありません。

フィッシャーバーのみで分割できるため、エアータービンによる気腫の予防ができます。
単根歯では分割の工夫が必要になり、近心傾斜や深部の場合は骨削除量が増加する傾向にあります。

まとめ

術前のパノラマエックス線画像およびCT画像より、下顎埋伏智歯および下顎管の形態や双方の位置関係について十分に把握し、一つの術式に拘泥することなく安全・確実な術式の選択と工夫により、抜歯の遂行を図ることが重要であると考えられます。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

【参考文献】
・最新口腔外科学第5版(榎本昭二他、医歯薬出版株式会社)
・第5版 SIMPLE TEXT 口腔外科の疾患と治療(栗田賢一他、永末書店)
・智歯抜歯ナビゲーション(笠崎安則他、クインテッセンス出版株式会社)

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