「インプラント難民」という歯科業界の問題とその解決に向けた取り組みについて

インプラント難民 インプラントの種類

この記事では、歯科業界の問題の一つである「インプラント難民」に関する内容とその解決に向けた取り組みついてまとめました。

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「インプラント難民」とは

2020年度の歯科用インプラント、および関連製品のマーケットサイズは約235億円で、ここ数年は毎年約50万本のインプラント体が販売されている状況です。

インプラント治療は急速に普及し一般化しているものの、長期症例の増加に伴い、他院で治療されたインプラントトラブルへの対応が増加しています。特に、前医で治療されたインプラントの種類が分からず、そのインプラント種類の判別に苦慮することが多くなってきています。

インプラントの種類は少なくても300以上もあると言われており、インプラントに使用するスクリューやドライバーなどの付属品はさらに多くの種類があります。

ドライバーも私が把握しているだけで約20種類(径0.9mm・1.0mm・1.2mm・1.22mm・1.24mm・1.25mm・1.27mm・1.28mm・1.3mm・1.45mmのヘックスドライバー、SCS、ユニグリップ、ヘキサロ、4-lobe、クアッド、iSyアバットメントスクリュー、GMスクリュー、四角、マイナスドライバーなど)が存在している現状です。そのため、普段使用していないインプラントシステムのドライバーは持っていないことが多く、診療で困る問題となっています。

インプラントの判別については、まずは前医に確認することが大前提ではありますが、閉院等の理由で確認できないことも多いのが現状です。
そこで、2023年に竹島明道先生(竹島歯科医院)との共著で「インプラント判別ガイド」(医歯薬出版)を発刊し、インプラントを判別する方法として、インプラント分類とそのフローチャート等を中心に記載しています。

インプラントコミュニティ「ImplaDetect」について

「インプラント判別ガイド」の出版と同時に、「インプラント難民」・「不明なインプラントの判別」という歯科業界の問題を解決しやすくするように、インプラントコミュニティ「ImplaDetect」(Facebookの非公開グループ、参加無料、2023年6月15日スタート)を発足し運営しています(管理者:田島聖士・竹島明道、モデレーター:岩本博・平塚智裕・田尾耕太郎 ※敬称略・順不同)。

2024年1月22日現在、メンバー2,255名で、スタディグループやインプラントメーカーの垣根を越えて多くの方がメンバーとなっています。
また、インプラント販売メーカー28社中、21社から会社公認の協力メンバーとしてご参加頂いています。

インプラント判別においては、個人の知識や能力には限界があります。このコミュニティはメンバー全員の集合知で賄われているため、バイアスの少ない意見が得られやすいと思っています。
コミュニティはFacebookアカウントをお持ちの歯科従事者であれば、どなたでも無料でご参加いただけます。下記から参加申請して頂ければと思います。

Facebook

利用方法としては、不明なインプラントの画像をこのコミュニティに投稿していただく形となります。有志メンバーが自発的に協力しあってインプラント判別のお手伝いをしていきます。ただし、本コミュニティはインプラント判別の確約をするものではありませんので、事前にご了承ください。

2023年6月15日にインプラント コミュニティ「ImplaDetect」を公開して以来、2023年では約半年間で計101回のインプラントに関する問い合わせの投稿があり、全てが解決に至っているわけではないですが、少しはインプラント難民のお役に立てることができたかと思っています。

各インプラントメーカーの協力体制について

28社中、21社にご協力を頂いており、詳細は以下のようになっています。

★ご賛同いただいているメーカー(各社の担当者はコミュニティ内で公開されています)
・ストローマンジャパン株式会社
・株式会社アルタデント
・株式会社カイマンデンタル
・株式会社メガジェンジャパン
・株式会社BMS JAPAN
・DIOデジタル株式会社
・株式会社ブレーンベース
・株式会社モリタ
・松風バイオフィックス株式会社
・日本ピストンリング株式会社
・ケンテック株式会社
・株式会社 OSSTEM JAPAN
・デンツプライシロナ株式会社
・大信貿易株式会社(Sweden&Martina)

★本コミュニティには参加していないが、インプラントの判別をメールにて確認頂けるメーカー(担当者の連絡先は管理者のみ把握しております)
・AQB・ABIインプラント株式会社
・株式会社ヨシオカ
・和田精密歯研株式会社(Neobiotech社)
・Z-Systems AG社 アジア駐在事務所(ジルコニアインプラント)
・株式会社 歯愛メディカル(Biotem社)

★個人的に対応することは許可されているメーカー(担当者については管理者のみ把握しております)
・株式会社ジーシー
・京セラ株式会社

★現時点での協力は難しいと回答頂いたメーカー
・ノーベル・バイオケア・ジャパン株式会社
・バイコンジャパン株式会社
・株式会社デンタリード ネオス・ジャパン事業部
・株式会社インプラテックス
・白水貿易株式会社(Keystone Dental)
・株式会社プラトンジャパン
・ジンヴィ・ジャパン合同会社

今後の展望について

本コミュニティは、「不明なインプラント特定」、「インプラント難民」という歯科業界の問題に対する解決法の一つと考えています。
さらに、その先には多くのエックス線画像データを基に、インプラントの種類を判別するAIシステムの開発も視野に入れております。

歯科医療の透明性を高め、歯科用インプラント市場の形成、および患者様の安心感を向上させることにも貢献していきたいと考えています。

各インプラントの詳細データについて

インプラント120種類の詳細データは下記サイトに掲載し公開しておりますので、参考にして頂ければ幸いです。

田島聖士(歯科医師・医学博士)|note
2004年に日本大学松戸歯学部卒業後、防衛省海上自衛隊に歯科医官として入隊。2015年よりAOI国際病院歯科口腔外科に勤務し、パノラマX線AI・インプラントAIの開発も行ってます。

参考:インプラントリペアのドライバーキット(トルクレンチ付き・7種類14個)は下記がオススメです。

Bitly

最後に

本コミュニティはシステムの同定を確約するものではなく、相談案件に関わる治療に一切の責任は負いかねますが利用方法は簡単です。不明なインプラントの画像をこのコミュニティに投稿いただき問い合わせてくださることで、有志メンバーが自発的に協力しあってインプラントシステム同定のお手伝いをしていきます。

インプラント判別には個人の知識や能力には限界があるため、このコミュニティは有志の皆で協力して解決を目指すグループとなっています。これからも「インプラント難民ゼロ」を目指して活動していきますので、皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。

葵会グループ
AOI国際病院 歯科口腔外科部長(神奈川県川崎市川崎区)
医療創生大学 歯科衛生専門学校校長(千葉県柏市)
田島聖士

【参考文献】
・2020年版 歯科用機器・材料市場の現状と将来展望
・インプラント判別ガイド(竹島明道、田島聖士・医歯薬出版株式会社・2023年)

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