2026年8月6日、「Rakuten AI Optimism 2026」のビジネスカンファレンスに登壇しました。

今回のセッションタイトルは、「AI実装時代におけるDXの現在地~現場で進む企業変革への挑戦~」です。楽天モバイル株式会社 代表取締役 共同CEOの鈴木和洋様に進行いただき、株式会社木下の賃貸の尾崎浩司社長とともに、「現場が“使いたくなる”AI導入の仕掛け」をテーマに、医療と不動産、それぞれの現場におけるDX・AI活用についてディスカッションしました。

私は歯科口腔外科の臨床、歯科衛生士学校の校長、葵会グループ統括本部DX戦略部長を兼務する立場から、医療現場で感じている課題、葵会グループで進めている医療DX、そして「お口年齢AI」×「楽天エコシステム」のヘルスケア構想についてお話ししました。
この記事では、当日のパネルディスカッションの内容をまとめます。
人手不足の時代に必要となる医療DX
医療業界は今、大きな転換期を迎えています。
医療・介護関連職の有効求人倍率は、全職業平均の2~3倍の水準で推移しています。さらに、2040年には医療従事者の需給ギャップが約96万人規模に達すると推計されています。
医療の需要が増える一方で、働き手は減り続けています。現場の努力だけで、この状況を乗り切ることには限界があります。持続可能な医療提供体制を維持するためにも、限られた人材で、より大きな価値を生み出すDX・AI活用が必要となります。

医療DXを進めるうえで感じる三つの壁
医療業界のDX・AI活用は、他業界と比較して5~10年ほど遅れているのではないか、と言われております。
一つ目は、「個人情報とセキュリティ」です。医療情報は極めてセンシティブであり、法令やガイドラインに沿った慎重な取り扱いが欠かせません。
二つ目は、「費用対効果の見えにくさ」です。「導入して本当に業務が改善するのか」という疑問は、常に存在します。
三つ目は、「施設ごとの温度差」です。同じ法人内であっても、DXへの理解度や抱えている課題は施設ごとに異なります。ツールを導入するだけではなく、現場の理解と納得を得ながら進める必要があります。
だからこそ、早い段階からDXの基盤へ投資し、小さな成果を積み上げ、次の技術へ継続的に投資できる好循環をつくることが重要だと考えています。

「お口年齢AI」と「楽天エコシステム」との連携
後半では、私がデンタルシステムズ株式会社と共同開発している「お口年齢AI」についてご紹介しました。
このAIは、約3万枚の歯科エックス線画像を教師データとして、虫歯や歯周病などの状態を認識し、最終的に「お口年齢」として分かりやすく示すものです。
現在、各歯科医院で得られた「お口年齢」を、LINEやアプリを通じて患者様のスマートフォンへ届ける仕組みを構築しており、2026年12月のリリースを予定しています。
私が将来のヘルスケアとして考えているのは、病院や歯科医院で得られた医療情報と、スマートフォンに蓄積される歩数や睡眠などの日常データが一体化する世界です。
さらに将来は、楽天の各サービスが保有する顧客の購買・行動に関するデータと、「お口年齢AI」から得られる医療データを組み合わせ、予防医療から日々の購買体験までをつなぐ、パーソナルヘルスケアの実現を目指したいと考えています。
医療と日常生活がシームレスにつながれば、病気になってから治療するだけではなく、一人ひとりの生活に寄り添いながら健康を守る、新しい予防医療が可能になります。

最後に
楽天モバイル株式会社 代表取締役 共同CEOの鈴木和洋様、株式会社木下の賃貸の尾崎浩司社長、学びの大きい貴重な時間をありがとうございました。



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